2023年5月8日「管理不全1R、個人落札」
東京地裁開札トピックス(23.5.8日号)
管理不全1R、個人落札
平成バブル時に多くの不動産会社が競って1R マンションを分譲した。それら分譲会社の多くは経営破綻をして姿を消している。そういった物件でも管理会社が適正な管理を施していれば、物件価値は維持される。逆に管理が不行き届きであると、共用部分が廃れ物件の価値が損なわれてしまう。4月26日開札では東京メトロ有楽町線「地下鉄赤塚」駅徒歩約6分に立地した築33年弱を経過した1Rが対象になった。専有面積6坪強で、月額共益費込み57000円にて賃貸されている。この物件の売却基準価額は560万円で、入札は1本のみに止まり、最高価818万円弱で個人が落札した。入札が僅か1本であったのは、このマンションの管理組合は稼働しておらず、管理状態が悪いことによる。管理行為の実施主体は不明で、管理費や修繕積立金についても取り決めが明らかでない。共用部分では鉄部の腐食、外壁の破損などが見られる。総戸数が11戸と小規模でもあり、管理会社に依頼する規模ではないこともあろう。また投資用マンションだけに自主管理も行われにくい。
現状の賃貸収入であれば表面利回りは競落価格に対し年8%超となるわけだが、今の管理体制では将来の価値保全に疑問があり、応札が少なかったようだ。もしこの物件が競売では無く、通常売買であった場合は仲介会社が管理について説明を施すことから購入者は現れにくかったと思う。競売故に売れた物件なのかもしれない。