2023年4月17日「区分所有法59条の競売」
東京地裁開札トピックス(23.4.17日号)
区分所有法59条の競売
マンションの滞納管理費等についてはマンション管理組合においては頭の痛い問題である。管理組合(もしくはその依頼を受けた管理会社)としては滞納している区分所有者と連絡を取り請求をすることになるが、連絡が取れないか、支払いに応じないケースも多々ある。結果として法的な手段で理費等の回収を検討することになる。滞納者が他の銀行等の債務返済ができず、競売に付されれば、競落後、競落者に対し請求できるのでそこで回収できる。
しかし、そういった他の債務による競売が行われなければ、管理組合が自ら法的措置で回収を図らねばならない。
3月14日開札ではJR中央線「大久保」駅徒歩約6分に立地する築50年超のマンションの1室が競売対象になったが、これは管理組合が申し立てた競売であった。滞納管理費等は区分所有法第7条に基づき担保権(先取特権)行使にて競売にて回収できるが、(その場合は(ケ)事件)、本件は強制競売(ヌ事件)であり、区分所有法第59条に基づく裁判を経ての競売と考えられる。この競売はマンションの共同利益違反があるとの管理組合の決議があった場合である。ちなみに長期間の滞納管理費もこの共同利益違反に当たる。本件の場合、抵当権は設定されていないが、租税の差押えがあり、また対象住戸の区分所有者にその他の違反行為があったかもしれず、そのため第7条ではなく第59条の申立てになったようだ。
結果は売却基準価額730万円に対し入札11本が集まり最高価1446万円にて競落されていった。管理組合はひとまず安堵したであろう。