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2022年11月28日「評価書価格補正を上回る競落」

東京地裁開札トピックス(22.11.28日号)

評価書価格補正を上回る競落

 2022年は不動産の相続税評価額について大きな判例がなされた。それは相続税を圧縮する方法として、相続税路線価、建物固定資産税評価額で算出した積算価格と市場価格の乖離を遣うことに裁判所が制限を掛けた判例である。判例の事件は銀行融資も節税目的として相続人に融資を行った経緯があり、且つかなり大胆な不動産購入により約10億円相当の相続税をゼロにした。これを裁判所は税当局の訴えに基づき行き過ぎた節税として、不動産評価を不動産鑑定によるとしたものだ。これは極端な例ではあるものの相続税節税目的の不動産購入に一定の歯止めが掛かることは間違えないだろう。

 11月9日開札ではJR山手線「東五反田」駅徒歩約6分に所在するタワーマンションが一番人気であった。三井不動産レジデンシャルが分譲し、築12年が経過した44階建の14階部分、専有面積約12.7坪の1LDKの部屋である。この物件の売却基準価額は4558万円で、これに対し27本の入札があり、最高価6508万円にて不動産会社が落札した。

ちなみにこのマンションの売却基準価額設定にあたっては評価書では積算価格に60%もの価格補正上乗せを行っている。それでも売却基準価額を4割以上高く競落された。おそらく相続税評価額は約2500万円程度であろうから、このマンションを現金で購入すれば約4000万円の相続税評価額圧縮になる。先に紹介した判例のように借り入れを絡ませずとも節税効果はあり、このマンション1戸程度であれば税当局は否認しないだろう。先の判例もあるがマンションでの相続税節税にらみでの需要はまだまだ健在と思われる。

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