2022年4月25日「杉並区の収益物件高上乗せ率競落」
東京地裁開札トピックス(22.4.25日号)
杉並区の収益物件高上乗せ率競落
このところ収益1棟物件の高値取引がよく話題になっている。背景には物件不足もあるが、インフレ警戒から個人の投資家が不動産投資に目を向けていることと、それを後押しする金融機関の積極融資姿勢があるだろう。
4月13日開札でJR中央線「西荻窪」駅徒歩約2分の店舗兼共同住宅が対象であった。この物件土地は北側、西側で公道の2項道路に面していてセットバックを除いた有効面積は約32坪である。建物は1985年10月築で鉄筋コンクリート造の4階建で1階は店舗2階から4階は計7戸の住宅になっている。3階の一部と4階はメゾネットタイプの住戸で所有者が居住で建物の延べ面積は約75坪である。この物件の家賃収益を考えるとメゾネット住戸の家賃設定が難しいが、およそ月額70万円強、年額にして約850万円くらいであろう。この条件で売却基準価額が7064万円であったが、これに対し27本の入札があり、最高価1億4900万円にて不動産会社が競落していった。売却基準価額の2倍を超える高上乗せ率での競落であったが、この競落水準では表面利回りで年約5.7%と決して高くない。これほどの高水準落札になったのはおそらく土地が立地などで評価が高く、銀行の担保評価が高く出ることがあるように思う。それにしても収益不動産の価格レベルが高い状況に市場がなっていることを反映しているものと考えられよう。