2022年2月28日「借地権付建物の共有持分も落札」
東京地裁開札トピックス(22.2.28日号)
借地権付建物の共有持分も落札
競売不動産の減少で、複雑な権利関係の物件にも果敢に応札をする業者が現れています。2月9日開札ではJR京浜東北線「東十条」駅徒歩約5分に所在する借地権付建物の3分の1の共有持分が開札対象になった。土地は西側で42条2項道路に面する約23坪でその土地上の対象の建物は昭和26年築の古家である。競売に付されたのはこの建物の共有持分3分の1であった。地主は個人で、借地権につき賃貸借契約の解除を主張している。地主の申出では滞納地代が500万円を超えていて、これが事実であれば30年以上地代不払いが続いており、この点だけでも解除要件にあたる。ところがこんな物件でも売却基準価額は101万円ついていて、さすがに入札は無いかと思われた。しかし結果は1本の入札があり、300万円にて競落されたのである。申立て債権者は都銀系のサービサー会社であり、おそらくはカードローンの延滞債権であろう。このまま競落者が代金納付をすれば、当該サービサーは安堵するだろう。ただ今後競落者が地主と賃貸借契約の締結について、また他の共有者と共有関係の解消などについて交渉する過程で代金納付をするかどうか分からないように思う。
競落者としては他の共有者から共有持分を買い取り、併せて地主に土地賃貸借契約締結を考えているとは思うが、なかなかハードルが高そうだ。
これほど権利関係が複雑な物件でも競落されるほど競落競争が激しい競売市場である。