2022年1月24日「売却基準価額4万円の区分所有店舗!」
東京地裁開札トピックス(22.1.24日号)
売却基準価額4万円の区分所有店舗
2022年最初の開札となったのは1月14日であった。この日特徴的であったのは、古い事件番号の物件が多数対象になっていたことである。その中で特に目を引いたのはちょうど1年前に差押えになった区分所有店舗である。その物件は東京メトロ東西線「木場」駅徒歩約1分に所在する築約40年のマンションの1階部分に所在する約26坪の店舗(飲食店)である。現状の店舗は無償にて使用借権者が占有、営業している。これは事件記録によれば、そもそもは賃貸借であったものが、漏水が止まらず、修繕工事がなされないため、無償使用になったとある。当該店舗は1階とは言うものの半地下の位置にあり、また登記上の種類が倉庫であることから本来排水設備などが整っていないのかもしれない。またこの店舗の滞納管理費等は約1460万円にも及び、評価書を見ると、この滞納管理費等を考慮すると売却基準価額がマイナスになってしまう。しかし、便宜上4万円が売却基準価額とされた。このマンションの競売申立てはマンション管理組合によりなされているが、本来売却基準価額マイナスとなれば競売自体が取消になる。おそらく管理組合は競売続行を裁判所に上申し、それが認められ今般の競売実施となったと思われる。差押えから1年の時間を要したのは、このことに由来するのだろう。結果として入札は7本あり、最高価755.5万円にて落札された。物件にも問題があるものの立地の強みで高く売却されたようだ。