2021年12月6日「昭和の1Rは個人落札」
東京地裁開札トピックス(21.12.6日号)
昭和の1Rは個人落札
競売市場において昭和の築年の物件はめっきりそのシェアを低くしている。その中でも専有面積が30㎡以上のものは、まだまだ入札本数が集まり、また再販業者が落札するケースがほとんどである。しかし30㎡未満の1R、1Kの物件については再販業者ではなく個人の落札が主となっている。12月2日開札では京王井の頭線「高井戸」駅徒歩約5分に立地する専有面積約4.4坪の昭和59年築の1Rマンションが対象になった。売却基準価額は445万円であったが、これに対し7本の入札があり、最高価618万円強で個人が落札していった。この競落価格は次順位資格のある入札は無く、やや突出して高かったと言える。
なお対象物件には所有者が居住しており、競落後は明渡を要する。賃貸するとすれば、内装工事も必要であろう。またこの物件では滞納管理費等は申立債権者と思われる管理組合の配当債権であるので競落者の負担は無い。従って競落者の総取得コストは明渡と内装コストを含めて700万円強といったところであろう。とすれば、賃貸の場合を考えると月額6万円で貸したとして表面利回りは年10%水準である。これでも再販業者が落札しなかったのは、やはり利益を乗せての再販に自信が持てないからであろう。昭和の狭1Rは個人の現金競落が主になっている。