2021年10月25日「借地権戸建に入札12本」
東京地裁開札トピックス(21.10.25日号)
借地権戸建に入札12本
借地権建物の競売物件の入札の難しさは地主がどういう考えなのか、推し量れないところにある。競落後に地主と話し、土地を売却してくれるか、してくれるとしてそれは幾らか。売却しないとした場合に、新たな土地賃貸借契約を締結するにあたり譲渡承諾の条件はどうなるのか。(譲渡承諾料や地代)所有権物件と同様に建物の明渡しについても考えなければならない。そんなことがあり、借地権物件への入札は比較的少ないのが通常である。
そんな中、10月6日開札では12本もの入札があった借地権物件があった。その物件は東京メトロ半蔵門線「清澄白河」駅徒歩約6分に立地する戸建であった。土地は南側で幅員6mの公道に面する約30坪で地代は月額29160円である。借地期間は30年で残存期間は26年である。建物は鉄骨造4階建で延床面積は約48坪の5LDKである。この内容で売却基準価額が2381万円であったが、これに対し入札が12本あり、最高価3429万円弱で競落されていった。売却基準価額に対し44%の上乗せ率であり、借地権物件としては高い水準である。地主が底地売却に高すぎない価格条件で応じてくれれば、再販利益がまずまず得られるが、売却に応じない場合は、借地権での商品化となる。譲渡承諾料(評価書上は320万円弱)や賃貸借契約期間の再設定など交渉して決定しなければならないことは多々生じる。それでも多くの入札を集めたところを見ると再販業者にとって事業用物件が不足気味なのであろう。