2021年10月18日「孤独死物件評価書では減価せず」
東京地裁開札トピックス(21.10.18日号)
孤独死物件評価書では減価せず
近年孤独死について社会問題化しているところで、競売不動産にも少なからず登場している。10月6日開札では都営新宿線「西大島」徒歩約10分に立地する一戸建てが対象となり、これが孤独死物件であった。その物件は土地が幅員2mの私道に面する約9.7坪で、建物は築56年の木造2階建てで延床面積は約11坪であった。この物件では推定平成30年6月30日に所有者が脳溢血により建物内で死亡し、その数日後に所有者の姉が発見している。建物には特段の臭いやその他痕跡は無いとのことであった。この物件の評価書においては、その事実は記載されているものの特段の(心理的瑕疵による)減価は計算過程上行われていない。おそらくは孤独死であっても、発見まで数日と短く、また痕跡等も無いということから減価を施さなかったのではないだろうか。さてこの物件は売却基準価額738万円に対し入札3本があり、最高価1050万円で不動産業者と思しき会社に競落された。やはり競落会社は建替えもしくは改築前提で応札したのだろう。確かにそうであれば孤独死の心理的瑕疵はさほど問題にならないだろう。ところでこの競売は相続人が相続の限定承認によって相続財産管理人弁護士により申立てが行われた(形式)競売であった。孤独死とともにこういった相続財産管理人申立ての競売も今後増加しそうである。