2021年4月5日「土壌汚染土地の再競売」
東京地裁開札トピックス(21.4.5日号)
土壌汚染土地の再競売
土壌汚染問題は多くの土地取引に大きな影響を与えている。3月17日開札では土壌汚染対策法の形質変更時要届出区域に指定されている土地が開札対象になった。その土地は日暮里舎人ライナー「熊野前」駅徒歩約4分に立地する約103坪の更地である。南東側で幅員5.5m、北西側で幅員3.7mの公道にそれぞれ面しており、一戸建用地のほか容積率が300%程度取れることもあり、賃貸マンション用地にも適していると思われる。ただし先に記したとおり、従前メッキ工場があったことで多くの汚染物質が地中に存する。この土地2019年12月19日に売却基準価額8022万円のところ入札が2本あり、1億88万円にて過去に落札されていた。この際も土壌汚染についての記載があり、評価額もそれを考慮し20%の減額はしていた。しかし、この時の競落者が改めて土壌汚染除去のコストが評価書等での見積もりに比して過大になるということで、再度の土壌汚染除去費用の見積もりを要求したようだ。その結果地下4mまでの完全除去には1億1500万円必要との見積もりが調査会社から提出され、売却許可決定が取消になったと思われる。今回その完全除去の費用見積もりを公開し、再競売となった。実際のところ地下4m完全除去でなくとも地下1mの除去で建築可能ということで、今回の評価書では30%評価減の6583万円の売却基準価額であった。結果は3本の入札で8029万円での落札であった。競落会社は建築可能な汚染除去費用を別途見積もり、入札価格を設定したのだろう。