2021年3月22日「変形間取りワンルームには高値つかず」
東京地裁開札トピックス(21.3.22日号)
変形間取りワンルームには高値つかず
中古マンション価格上昇はワンルームマンションに波及していることは前々回の本欄でも取り上げた。ワンルームマンションの利回り低下が顕著になっている。しかし、ワンルームマンション価格が上昇しているのとは逆行するかのように単身者用住宅の賃料は低下の傾向にあるようだ。背景には供給量が高止まりや、テレワークの広まりなどが関係しているようで特により狭小間取りの賃貸付けが厳しい状況のようだ。そんな中、3月3日開札では東京メトロ丸ノ内線「新大塚」駅徒歩約3分に立地するワンルームマンションが開札対象になった。昭和62年築で古いながら新耐震基準での建築である。専有面積は約5坪で売却基準価額は463万円であったがこれに対し入札は9本あり、最高価668万円にて個人が落札していった。現在空室で室内写真を見る限りきれいに内装されている。これまでの競落傾向を鑑みると、立地から推して競落価格はもっと高いように思われたが、先述の結果であった。これはこの部屋の間取りが変形(縦長)でデッドスペースが多く、ベッドの置き場に悩む間取りである。またユニットバスは浴槽とトイレの2点のみで洗面が無い。現在空室でもあり、先述した昨今のワンルーム賃貸市場を考慮すると賃貸付けに苦労するだろうとの判断が入札者や入札検討者にあったのではないだろうか。