東京地裁開札トピックス(20.1.13号)
2019年最多入札が年最後の開札に
2019年大都市のビル賃貸市況は好調であり、東京23区の空室率は1%を割っている状態であった。2020年オリンピックイヤーではどのように展開していくだろうか。2019年12月19日が一年の最後の開札であったが、その日に一年で最も入札を集めた物件が登場した。それはまさに都心の店舗が一部入るオフィスビルであった。立地はJR中央線「四ツ谷」駅徒歩約2分である。また今年開業を予定している四谷駅前再開発事業地に極近い。既に再開発地の中心部には巨大なオフィスビルが建っている。さて対象物件は土地が北西側で幅員10.7mの公道に面する約28坪で、その上に築27年の鉄骨造9階建(地下1階付)で延床面積約167坪の建物が建っている。年収は2500万円程度見込まれるビルであったが、この物件に何と70本もの大量入札が入ったのである。これは2019年で最高の本数であった。そして競落価格は4億1210万円で表面利回り年6%程度の水準であった。売却基準価額に対する上乗せ率は290%超と一際大きかった。先日相続税評価額について「路線価否定判決」が出たが、実勢価格と公的評価額の乖離は都心についてはかなり大きくなっているように思える。2020年も希少性ある土地はまだまだ強気の相場になりそうである。ただ2019年の東京地裁の競売対象物件数は7年ぶりに増加するという節目であったので、今後の競落動向に変化が出るかもしれない。次週号より2019年の競売市場の総括と今年の予想を行っていきたい。