東京地裁開札トピックス(19.11.4号)
世田谷一棟物件に応札無し
収益型一棟マンションは超低金利時代を背景に売買が活発に行われてきた。収益型一棟物件売買を主たる業務として成長した新興不動産会社も多く出現していった。しかしここへきてその一棟物件の売れ行きが鈍くなってきている。特に個人投資家向けの5億円以下の物件についてはそれが目立つようだ。これはやはり個人向け不動産融資がスルガ銀行の不正融資問題に端を発し厳しくなったことに起因する。10月24日開札では世田谷区船橋7丁目に立地する収益型一棟マンションが入札本数ゼロに終わった。この物件、土地は南東側で幅員約6mの公道に面した約90.5坪で、建物は築33年経過の鉄筋コンクリート造4階建てで、延床面積約143坪である。間取りは1DK11戸と1階に床面積約40坪の店舗がある全12戸の店舗兼共同住宅になっている。予想される賃料総額は年1300万円超で、経費控除後で1000万円程度である。そしてこれに対し売却基準価額は1億2672万円であるので年利実質約8%程度の利回り水準ということになり魅力的かと思われたが、実際は応札が無かった。これはまず最寄駅である京王線「八幡山」駅から徒歩約19分と立地が悪いこと、さらに4階建てにも拘わらずエレベーターが設置されていない。現に1階の店舗始め住宅部分も6戸空室であり、競落後テナント付に困難が予想される。現況では銀行融資も受けづらい物件だろう。それでも2~3年前にはこの物件にも複数応札があったであろう。時勢の変化を感じる結果であった。