2019年10月29日「池上の私道面戸建に入札2本止まり」
東京地裁開札トピックス(19.10.28号)
池上の私道面戸建に入札2本止まり
最近ワイドショーで長崎市での私道利用を巡るトラブルがよく話題となっているが、私道の利用や保守管理については、東京でも問題になることが多々ある。特に私道面の住宅が建て替えする折に水道管や下水管整備のための掘削同意については業界ではよく話題に上る。私道の所有者(共有者)に連絡が付かなかったり遠方に転居されたりしているため同意書の記名押印を取得できない場合があるからである。不動産業者としては、この掘削同意が揃った状況でないと仕入れられないということはよくあることである。さて10月10日開札では東急池上線「池上」駅徒歩約12分に立地する私道(建築基準法第42条1項5号、位置指定道路)に面する約10.5坪の狭小住宅が対象であった。私道は分筆され8人の分有状態である。建物は古家であり、建替え前提での商品化であろう。この物件の売却基準価額は983万円であったが、これに対し入札は2本に止まったものの競落価格は結果として1323万円と売却基準価額の34%超の上乗せであった。もう一本の入札は次順位資格がないほど低く離れた入札価格であったので、突出した競落価格となった。これは私道の掘削同意や、境界確定がない状況の競売物件において、それら、つまり同意書や承諾書の取付がどのくらいの時間とコストが掛かるかの見積の差であると言えるだろう。好立地であっても競売市場の私道面戸建物件については入札価格の設定は難しい側面がある。