2019年9月16日「土壌汚染の可能性ある物件が敬遠される」
東京地裁開札トピックス(19.9.16号)
土壌汚染の可能性ある物件が敬遠される
東京地裁の競落率は相変わらず高い水準で推移しているが、そんな中で9月5日開札では最寄駅徒歩圏の立地ながら応札が無く特別売却回った土地付建物があったのが目を引いた。この物件はJR常磐線「亀有」駅徒歩約9分に立地する。土地は西側で幅員6mの公道に面する約111坪で、建物は2棟あり、その一棟は築35年の鉄骨3階建てで延床面積は約118坪である。1~2階は工場で、3階が事務室になっており、もう一棟が築41年経過する木造2階建の居宅で、延床面積が約44坪である。この物件の売却基準価額は6787万円で、建物評価をゼロとみて1坪61万円強にあたる。買受可能価額はさらにその2割引きで1坪50万円未満であるのにもかかわらず応札が無かった。その大きな原因かと思われるのが土壌汚染の可能性である。この物件の評価書では土壌についてフェーズ1の調査をしており、それによると特定有害物質の地中存在の可能性を示している。さらにこの物件には変電施設があるため、PCBの存在もある。これら有害物質の除去にはどれだけのコストが掛かるか予測が難しいこともあって応札が無かったのではないだろうか。
またもう一つこの物件が敬遠されたと思われることがある。それは土地が敷地延長の地形であり、間口2.7mで、その延長部分の長さが14mであることである。この地形であると共同住宅が建てにくく、また敷地分割もできない。土壌汚染と敷地延長地形が入札を躊躇わせたようだ。