2019年1月14日「2019年収益物件の相場を占う」
東京地裁開札トピックス(19.1.14号)
2019年収益物件の相場を占う
2019年の不動産市場はどのような展開になるだろうか。昨年最後であった12月20日開札では築浅で好立地の共同住宅1棟マンションが対象となり、相場を占う意味で目を引かれた。その物件は京王井の頭線「下北沢」駅徒歩約2分に立地し、敷地は北西側で幅員6m強の公道に接する約90坪である。建物は築13年の鉄筋コンクリート造地下1階付3階建で、1K20戸から成り、延床面積約193坪である。事件記録ではサブリース会社の一括借り上げとなっていて、月額240万円弱となっている。しかし、現在空室もあり、個別の転貸賃料を見るとこの賃料保証水準は高過ぎる感じがする。(サブリース事業としてのマージンが確保できないように思う。)おそらくは満室で月額220万円、年にして2650万円前後が総収入見込であろう。経費率を考えれば実質収入は年2400万円程度と見られる。これに対し売却基準価額は2億7355万円であったが、これに対し入札は33本あり、最高価5億6862万円であった。売却基準価額の2倍を超える高い上乗せ率であったが、年利回りでは4.2%水準であり、立地や築年を考えるとこれまでの収益物件の高相場からは決して高い水準ではないように思う。入札本数も大量とは言え40本以下であり、一頃の勢いは感じない。収益不動産相場の減速が予感される競落結果であった。