2018年9月10日「管理費ゼロ円のマンションに高上乗せ率!!」
東京地裁開札トピックス(18.9.10号)
管理費ゼロ円のマンションに高上乗せ率
中古ファミリーマンションが東京圏ではよく流通している状況であるが、その背景には低利の住宅ローンの存在がある。従って住宅ローンが実行されにくい、例えば接道条件を満たしていない住宅であるとか、床面積が狭小であるなどの物件は高い価格水準になりにくい。マンションであれば築年が古いものなどは融資条件が悪くなることもあるが、管理体制に問題のある物件も厳しい。8月2日開札では京王井の頭線「永福町」駅徒歩約7分に立地する築約28年のマンションが対象になった。専有面積が約21坪の2LDKであるこの部屋の管理費は月額ゼロ円で、修繕積立金が月額1万円あるのみである。3階建てであるこのマンションにはエレベーターは無く、総戸数6戸という規模であることから共用部分の管理コストは確かに掛からないのかもしれない。ただ修繕積立金が全体で月額6万円では、機能維持保全は到底難しいそうだ。管理会社は無く自主管理で、修繕計画などもなさそうだ。ただ本件はこういったマンションの管理体制について、評価書の売却基準価額算定には反映されておらず、減額要因になっていない。さらにこの物件の構造がマンションであるのだが鉄骨造であるが、この点は再調達原価や経済耐用年数を低く且つ短く計算されてはいる。しかし、住宅ローン利用という観点では、管理体制に加えこの鉄骨造ということが障害になりそうだ。この物件の売却基準価額は2542万円。これに対し2本の入札しか無かったが、これはそういった問題を反映してのことだろう。しかし競落価格は上乗せ率65%超で次順位無しの4200万円であった。競落会社は管理や構造についてはあまり障害と捉えなかったのかもしれない。