2018年9月3日「江戸川区内の件外建物付土地が高落札!!」
東京地裁開札トピックス(18.9.3号)
江戸川区件外建物付土地が高落札
土地が競売に付されたとき、競売の対象でない建物がその土地上に存するときがある。これは通常「件外建物」呼ばれる。問題はその建物に敷地利用権があるかないかである。8月2日開札で江戸川区内の、JR総武線「新小岩」駅徒歩約15分に所在する土地が開札対象になっていた。この土地は西側で幅員約16m、南側で約4mの公道に面する角地で面積は約52坪である。さてこの土地には築60年近い古家が建っている。そしてこの古屋には敷地利用権が無い。この場合当該土地を競落した者は、その件外土地を収去することが可能ではある。しかし示談で済まず法的手続きとなった場合に、建物の占有排除と相違して民事執行法上の引渡命令は使えない。まずは建物所有者を相手にして建物収去・土地明渡訴訟を提起しなければならない。その勝訴判決を得た上強制執行で取り壊すことになる。弁護士費用等や期間を要するので、できれば交渉で建物を買い取って更地にしたいところである。このように占有者排除よりそのコスト、時間を要することから裁判所でもこの建物に「場所的利益」と称する金額を評価書上計算し控除している。本件の場合更地価格約5100万円のところ、その20%の1000万円強をその場所的利益としている。この場所的利益を考慮して売却基準価額を3096万円としたが、これに対し入札14本が入り最高価6308万円で業者が落札していった。この落札水準は路線価の約1.5倍に相当し、高く思ったが、なおそれに加え件外建物排除のコストもあるところから、かなり強気の落札により感じた。