2025年1月27日「2025年の競売市場の予測」
東京地裁開札トピックス(25.1.27日号)
2025年の競売市場の予測
先週までの本欄では2回に亘り2024年の総括をしてきたが、それでは2025年はどうなるのか予測してみたい。それにあたり下のグラフを見てもらいたい。このグラフは全国の競売申立て件数と国税・都税の滞納件数を示している。統計集計上2023年までのデータにはなっているが、まずは2023年にこれまで十数年にわたり減少し続けた全国の競売申立て件数が増加に転じたのである。また国税の滞納件数は2019年から増加のトレンドとなっている。この2つの傾向から見るに全国的な景気はやや悪化傾向にあるとも考えられる。しかし一方で都税の滞納は一貫して減少を続けている。この違いが生じる原因はおそらく東京の不動産価格の上昇傾向にあると考えられる。ちなみに都税の滞納のおよそ3割は固定資産税と都市計画税と言われている。不動産価格上昇により、売却による滞納解消がしやすい状況が続いているのだろう。もし2025年の東京の不動産価格が反転し、下落に向かう局面となれば、都税の滞納は増加するだろう。都税滞納により不動産差押えが増加することになれば、これに呼応して民間の不良債権は増加することとなり、競売申立て件数が東京でも増加することになろう。そうなれば2025年は競売市場転換の年になるであろう。