2025年1月20日「2024年東京地裁競売市場の総括(2)
東京地裁開札トピックス(25.1.20日号)
2024年東京地裁競売市場の総括(2)
先週の本欄では2024年東京地裁本庁の競売市場は競落率の微減、競落価格の売却基準価額への上乗せ率の低下を紹介した。そこから2024年は過熱状態だった市場の転換の兆候が表れた年であったと言えるだろう。
さて2024年の競落事例で特徴的だったのは1つにフラット35などの住宅ローンの不正利用に端を発した競売が目立ったことである。若者を中心に市場価格より極端に高い価格で、住宅ローン借り入れで購入させた上、賃貸にして運用させるといういわば詐欺商法の挙句での競売である。
この競売は2025年も引き続き出現すると考えられる。むしろ融資銀行の債務者への一括返済要求が増え、競売申立てが増加することも考えられる。
下のグラフは東京地裁本庁の2024年配当要求終期の公告件数の推移を表している。これは競売開始による差押えの件数でもある。2023年は1年を通しての総数は911件であったが、2024年は924件と、僅か13件ながら3年ぶりに増加した。ここから類推すると2025年の競売対象物件数は2024年とほぼ同じ水準になるように思える。ただし、僅かながらも増加の兆しがあり、年前半に先の住宅ローン詐欺由来の競売申立てなどの件数が増えてくると1年の競売物件総数が上昇する可能性は十分にある。