2024年12月16日「日本橋戸建てが事業の失敗での競売か」
東京地裁開札トピックス(24.12.16日号)
日本橋戸建てが事業の失敗での競売か。
コロナ禍では多くの飲食店が経営危機となり、そこへ食材を卸す会社も厳しい経営を余儀なくされたところも多い。12月4日開札では、東京メトロ半蔵門線「水天宮」駅徒歩約3分に立地する一戸建てが競売対象になった。この物件、現土地所有者は親からの相続でこの土地を得たところ、その娘とその配偶者が2世帯住宅を建てた。この時の建設資金のための借入金は完済した。しかし、先の娘婿が経営する食材関係の会社がこの物件を担保に事業資金をノンバンクから借りたところ、これが返済延滞に陥り競売に付されたものと思われる。この物件、土地は幅員11m公道に面する約28坪で、建物は築27年の鉄骨造3階建で延床面積約40坪である。そして売却基準価額9155万円のところ、最高価3億8939万円で競落された。実に売却基準価額の4.2倍を超える高上乗せ率競落であった。これほどの高額競落になったのは、本物件が商業地域にあり、容積率500%と、ビル用地としての価格水準になることが原因である。競落価格を土地面積で割ると1坪1400万円程度であり、これは路線価(約420万円/坪)の約3.3倍であり、決してこの地域においては不思議ではない。この物件おそらくは任意売却の持ち掛けがかなりあったであろうが、家族が居住している状況で引越しの話が纏まらず競売が進んでしまったと見られる。コロナ禍が起こした競売と言えるかもしれない。