2024年11月18日「田園調布戸建てをサービサー自己競落」
東京地裁開札トピックス(24.11.18日号)
田園調布戸建てをサービサー自己競落
競売物件には、メディアに取り上げられる事件がらみのものがある。11月6日開札では東急東横線「田園調布」駅徒歩約6分に所在する一戸建てが対象となったが、これが大型詐欺事件の犯人所有のものであった。この詐欺事件は楽天の基地局建設に係るもので事件首謀者は100億円近い金を楽天から騙し取ったものである。約2年前に対象物件を事件首謀者が購入しており、昨年7月には楽天も差押えを行っている。購入時には地銀から推定7億円の融資を受けたが事件発覚後、この地銀がサービサーに債権譲渡し、今般このサービサーが自己競落を行った。
この物件は土地が南側と南西側で幅員約7mの公道に面する広さ約170坪で、建物は築4年の木・鉄筋コンクリート造地下1階付地上2階建て延床面積約100坪である。
売却基準価額は4億4160万円であったが、これに対し入札が15本あり、最高価7億4700万円強を付けた先のサービサーが競落していった。なお、この競落には次順位買受申出人の資格のある2番手の入札者はいなかった。
なおこの物件の占有者は所有者の債権者から紹介を受け賃借していると主張しており、正常な賃借人ではないとの裁判所の判断である。従って引渡命令が代金納付後すぐに申し立てられる。
ちなみにこの物件の正面路線価は1坪約250万円であるが、競落の土地価格はその1.4~1.5倍に相当する。サービサーは不動産鑑定の結果を入札価格として採用しているように思う。