2024年10月28日「価格下がり続けるワンルーム」
東京地裁開札トピックス(24.10.28日号)
価格下がり続けるワンルーム
先週の本欄(10月21日号)では港区のマンションが共有持分の競売であるのにも拘らず多くの入札で且つ高上乗せ率での競落であったことを記した。さて10月9日開札では西武新宿線「野方」駅徒歩約3分に立地する専有面積約5.15坪の1Rマンション(築39年、パレ・ドール中野第3)が対象であった。このマンションは現在共益費込み月額5万円で賃貸中とある。このマンションの売却基準価額は599万円であったが、これに対し入札11本が集まり、最高価650万円にて個人が競落していった。これは専有面積坪単価126万円強であり、現状の賃貸状況から表面利回り9%強水準の競落水準になる。
ちなみにこのマンションの登記情報(抵当権設定額)を見ると競売に付された所有者は約7年前に約900万円で購入したものと推察される。専有面積坪単価174万円強で購入当時から3割近く低い競落価格で処分されたことになる。先週紹介した港区のマンションとは全く逆の価格推移を辿っているように思う。さらに登記情報から平成2年バブル最盛期には3650万円、坪単価約700万円を超える価格で取引されていたと見られる。このマンション、結局平成バブル崩壊後一貫してアベノミクスも関係なく価格が下がり、約34年間で5分の1以下になったことになる。またこのマンションと同じ地域にあり、ほぼ同じ築年のファミリーマンションは競落事例の約2倍の坪単価230万円程度の販売価格となっている。1Rマンションがファミリーマンションと比して専有面積坪単価がかなり低いことが改めて分かる。そして今般の不動産価格急騰は立地ほかによる大きなムラがあるのである。