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2024年9月30日「住宅ローン詐欺由来競売はまだ続く」

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東京地裁開札トピックス(24.9.30日号)

住宅ローン詐欺由来競売はまだ続く

 2018年発生の「かぼちゃの馬車」事件は、価値が極端に相場より高く、且つ賃料見込みが画に描いた餅の高額物件を投資家に売りつけ、大きな被害をもたらせた経済事件であった。この事件で被害者が大量に生じた大きな要因にスルガ銀行という有名な地方銀行の融資を投資家に使わせたことがある。信用が高い銀行が融資するのだから詐欺ではない、と被害者は思った。同じような手口で、この「かぼちゃの馬車」事件のすぐあとに行われたのは「フラット35悪用」事件である。本来自住用への融資である低利住宅ローンを使わせ賃貸収益用として法外な価格でマンションを売りつける手口である。この場合も自住用ではない不正利用であることを言葉巧みに購入者に伏せ、テレビでも宣伝している低利融資「フラット35」利用の物件であることで投資家を安心させ騙すのである。

 9月11日開札では京王線「桜上水」駅徒歩約4分に立地し、築50年を経過する専有面積約10坪の1DKが開札対象であった。このマンションの競売の申立人は住宅金融支援機構、フラット35の運営母体である。債務者はフラット35の取扱大手のアルヒを通し購入資金を調達しているが、その調達額は3300万円強である。おそらくは転売益2000万円以上を乗せ3500万円程度で売りつけたのだろう。そしてしばらくはサブリースとして高目の賃料を債務者に支払い、それをもってローン返済に充てさせた上、わずかなキャッシュフローを得させる。そしてその後賃料支払いを停止し逃げる。かぼちゃの馬車よりある意味悪質な詐欺と言えるだろう。しかもこの手口は広く長く利用されたようで、この詐欺の精算とも言える競売はまだまだ続く様相である。ちなみにこの桜上水のマンションは売却基準価額856万円で、競落価格はそれを下回る848万円であった。

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