2023年6月12日「国際的競売の新宿マンションが一番人気」
東京地裁開札トピックス(23.6.12日号)
国際的競売の新宿マンションが一番人気
競売物件で主たるものは抵当権などの担保権実行によるものである。これはケ事件と言われるが、これに対し裁判の判決などに基づき差押えされ、競売に付されるものが強制競売と言い、ヌ事件と呼ばれる。そしてヌ事件はその競売に至る経緯が様々である。5月31日開札で一番人気となったのが東京メトロ丸ノ内線「西新宿」徒歩約2分に立地する築40年の専有面積約14坪の2DK マンションであったが、このマンションがヌ事件であった。
さてこの事件の差押えの経緯が変わっている。登記情報を見ると所有者は中国本国住所の中国人で、競売申立て、差押えをしたのが、イタリアの大手銀行(ウニクレディト)である。中国人がイタリアの銀行から借り入れて返済を延滞し、その中国人が所有する日本のマンションを債権者のイタリアの銀行が差し押さえている。国際的な権利関係に驚かされる。しかしイタリアの銀行がよく債務者の日本の財産を見つけて差押えしたものである。差押えから1年以上経過して今回の競売となっているが、これだけ時間を要したのは通常より手間が掛かる債権者、債務者への通知等に原因があったと思われる。また任意売却も所有者が中国人で債権者がイタリアの銀行なので困難であったろう。
ともあれこのマンションの売却基準価額が3000万円であったが、これに対し、入札が23本集まり、最高価4370万円弱で不動産会社が落札した。日本の不動産がグローバル取引されてきている一端が伺える競落事例である。