2023年5月22日「マンション共有持分が再入札」
東京地裁開札トピックス(23.5.22日号)
マンション共有持分が再入札
競売市場に登場する特殊物件として共有持分のみの競売がある。4月26日開札ではJR総武本線「馬喰町」駅徒歩約4分に立地する築約20年で専有面積約12坪の1LDKの部屋が対象となった。今回競売の対象となったのはこのマンションの約半分の共有持分である。約半分というのは、共有持分の分母が億単位となっていて分子も一桁まで数字がある珍しい競売対象共有持分であった。登記の経緯を見ると、まずはそもそもの所有者が遺贈を親族以外の第三者に行っている。それに対し法定相続人(おそらく子供)2人が遺留分減殺請求権を行使して先に記したように細かい数字での共有持分移転が行われた。その後遺贈を受けた方に残った共有持分に対して遺留分減殺請求権を行使した2人のうちの1人がさらに差押えて競売に付した。相続に絡む複雑な人間関係が垣間見られる競売である。
この共有持分の売却基準価額は743万円であったが、これに対し入札は12本あり、最高価1410万円で今回差し押さえた共有者が競落した。自己競落ということになる。これにより複雑な権利移転の一応の結末を迎えたと言えよう。
ちなみにこの物件社宅として月額13万円程度で賃貸されている。そして競売昨年の10月26日に1度入札15本の末、最高価2110万円にて競落されていたのである。しかしこの競落者は代金納付することなく、再度今回入札となっている。多分昨年競落した方が差押えした共有者との本物件の運営などの協議が纏まらず購入を断念したのではないだろうか。
複雑な経緯を背景とした共有持分競売の入札はよく考えた上行いたいところである。