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2023年4月24日「占有妨害注意の1R競落」

東京地裁開札トピックス(23.4.24日号)

占有妨害注意の1R競落

 1990年代バブル経済が破綻して、競売物件が急増した折に競売市場に跋扈したのが占有屋である。当時は執行官に電気名義などインフラの契約関係の調査権限がなかった。そのため不法占有者が賃借権など偽装の占有権原を主張しやすく、現実に占有して明渡料を競落人に請求する占有屋が跋扈した。その後民事執行法改正がなされ執行官にインフラ調査権限が付与され、偽装の占有権原は主張しづらくなり、占有屋もなりを潜めたかにみえる。しかし、占有を偽装するケースは今もその例が聞かれる。特に空き家状態の物件に対し競売の公告後不法占有をした旨主張するやり方がその例である。実際その物件に占有せず、文書を競落者に送り付けるというものである。こういった妨害行為は相手にしないのが上策ではある。しかし経験値が低い競落者はついその不法占有者と勝手に名乗る者に連絡をしてしまい、法外ない根拠のない明渡料名目の金銭を請求される。

 4月12日開札ではJR山手線「駒込」駅徒歩約7分に立地する築約16年の専有面積7坪弱の1Rマンションが対象になった。売却基準価額1392万円に対し入札13本が集まり、最高価1888万円強で個人が落札したが、この部屋は競売差押えの時点から占有状態が変わったようだ。差押え時点では賃借人が占有していたものの、入札開始時点では退去され、空室となったようだ。こういった場合占有関係が不確かな分、先の占有屋もどきに目を付けられやすい。空室が却って妨害に遭いやすいことがあるので注意したい。

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