2022年11月14日「条件変更で再入札の借地権物件が高額競落」
東京地裁開札トピックス(22.11.14日号)
条件変更で再入札の借地権物件が高額競落
借地権付建物にたまに見られる特徴として借地権の範囲、つまりは敷地形状が不明確であることがある。特に私道に面する物件は、その私道や私道に通じる土地が借地権範囲に入っているのかが曖昧な場合がある。
10月26日開札でJR総武線「東中野」駅徒歩約5分に立地する借地権建物が対象となったが、この物件は今年4月27日に開札となり、競落されたものであった。この時は売却基準価額2726万円に対し18本の入札があり、最高価7106万円にて不動産会社に競落された。しかし再び入札に付され、今度は売却基準価額2160万円と大きく減額された。
おそらく前回(4月27日)に競落した会社が売却許可取り消しを申立て、これが認められ売却基準価額の見直しが行われたのではないかと考えられる。前回の評価書と再入札の評価書(補充書)を比べると、その相違部分は接道関係である。この物件は借地権範囲である敷地から接面道路へ借地権範囲外の土地を介して通じている。これについて前回はその借地権範囲外の土地に対し「使用借権」があるという前提で評価していた。しかし競落者が競落後確認するとその部分には土地所有者が認めた使用借権は無く、便宜的に、あるいは囲繞地通行権として使用しているに過ぎないことが判明したのだろう。それにより競落者は売却条件が相違するとして売却許可決定の取り消しを求め、これを裁判所が認め再入札になったと思われる。そんな物件ではあったが、再入札でも15本の入札があり、最高価5738万円にて競落されていった。競落後、道路への通行権確保を図るのだろう。それでも立地、利回りが十分魅力的であり、高額競落となったようだ。