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2022年6月27日「個人落札数の低下」

東京地裁開札トピックス(22.6.27日号)

個人落札数の低下

 かつて競売物件が世間に溢れていた平成初期は競売の落札率向上のため、それまで参加が少なかった個人も入札参加し易くすることを政府は考えた。それが民法や民事執行法の改正で、引渡命令適用の範囲の拡大や所有権移転登記と同時に金融機関の抵当権設定登記ができるようになされた。その後一定程度個人落札の件数は増加したが、それでも全体の1~2割ほどで大きくは増加せず、引き続き不動産業者の入札が中心に変わりは無かった。それはやはり物件の引渡が買受人の負担で行われることに要因があった。それゆえに1Rマンションなど明渡を伴わない物件が個人入札の中心になった。しかしこのところ、その分野においても個人落札の割合が低下している。5月19日、6月1日の開札物件全62物件のうち僅か1物件だけが個人名による落札であった。この要因は不動産業者の入札価格が高額であることにあるようだ。現に先の2回の開札日において次順位買受申出者のうち4人が個人名であった。落札者はこれを上回る高額で競落している。個人落札が多かった1Rマンションについても不動産業者落札が目立つ。6月1日開札でJR埼京線「北赤羽」駅徒歩約1分の1K、専有面積約7坪のマンションに16本の入札があった。売却基準価額1264万円に対し2180万円で不動産業者が落札したが、この物件の次順位買受申出人は個人で2150万円強であった。不動産業者の物件不足を背景に個人を上回る高値落札が行われているということであろう。

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