2022年5月23日「事故物件サイトで敬遠気味となった戸建」
東京地裁開札トピックス(22.5.23日号)
事故物件サイトで敬遠気味となった戸建て
昨今、事故物件の話題が多く取り上げられているように感じる。その理由として事故物件サイト「大島てる」の存在が大きいように思われる。国土交通省では、自宅での死亡でいわゆる自然死であれば、遺体の発見が遅く臭気などが生じていない場合は借り手や買い手に告知を要さないといったガイドラインを示した。また自死などの場合も3年を目安に告知を要さない旨も示している。しかし実際には先に記した事故物件サイトに載っているものは3年を超える過去の事故も掲載されており、賃貸、売買ともに取引に影響を与えている。
4月27日開札で練馬区大泉に立地する一戸建が対象になったが、この物件の現況調査書で平成30年以前に不自然死があった旨記載されていた。しかし一方評価書ではおそらく国土交通省のガイドラインを参考にしたのか、特段の減価を施せず、売却基準価額1156万円が設定された。これに対し結果は入札が4本で最高価1051万円強と売却基準価額以下での落札になった。この物件をサイト「大島てる」で検索すると、平成26年10月に自殺あり、となっている。多くの入札検討者は再販時の障害となると考え、入札を見送るなどしたように思う。ところでこのサイトへの掲載は令和4年2月になされている。おそらくは競売の公示があった後にその内容を見て投稿されたものであろう。これにより結果として競落水準の大幅低下が生じたと考えられる。この例を見るとこのサイトの運用に問題があるようにも思う。