2022年3月14日「自然死マンションやや敬遠か」
東京地裁開札トピックス(22.3.14日号)
自然死マンションやや敬遠か
高齢社会では孤独死の発生は増加しており、当然競売物件においても散見される。2月24日開札では西武新宿線「新井薬師」徒歩約8分に立地する築40年弱の専有面積約14坪の2DK のマンションが開札対象であったが、この部屋に孤独死があった。孤独死したのは物件所有者の親族とのことである。昨年(令和3年)1月初旬に亡くなり、同年5月に発見されている。この死について事件性はなく、自然死のようである。これらの事実関係は現況調査報告書に記載されている。さて問題はこの物件競落後、競落者が再販する場合に、この件を購入者に告知すべきか否かということだ。先に国土交通省から宅地建物取引業者に対し「人の死の告知に関するガイドライン」が示されたが、これによれば住戸内の自然死については告知不要となっている。ただし同時にその死についての周知性が高い場合は告知の必要ありとも示されている。このガイドラインに照らせば競売の資料に記載されている死の事実は周知されているとも言えることで、自然死であっても告知を要すると考えるのが無難であろう。ただし、この物件の評価書では、この件での減価は行われていないので、内装替えを施せば積極的開示ではなく重要事項説明書中の特記記載くらいではないかと思料する。さて入札結果は売却基準価額1287万円に対し1950万円にて落札されていることから、競落価格にはこの孤独死はあまり影響が無かったようだ。しかし入札本数が5本とやや少ない感じもあるので、この点では入札が敬遠されたことが伺い知れる。