2022年2月14日「レストラン閉店が競売引き金か?」
東京地裁開札トピックス(22.2.14日号)
レストラン閉店が競売引き金か
コロナウイルスのまん延は外食産業を直撃し、閉店に追い込まれる店も少なくない。特に中規模以上のレストランは時短営業協力金などでは資金繰りがつかず経営が厳しい。さらに客単価がある程度高いレストランの経営逼迫度は高い。1月26日開札の対象物件に京急本線「北品川」駅徒歩約7分に立地する築2年弱と真新しい1棟物件が対象になった。敷地は幅員約18mの公道(八つ山通り)に面した約50坪で、ここに鉄筋コンクリート造5階建の店舗・共同住宅が建っている。1階店舗は約28坪の広さで、現在は空き状態である。ここはかつてイタリアンレストランであったが、開店して1年余りで閉店している。おそらくはコロナ禍による営業不振であったことだろう。不幸にも開店間もない時期での予期せぬ災禍で早期撤退に追い込まれたのではないだろうか。2階から5階までは共同住宅であり、1LDK中心に14戸から成る。そのうち10戸ほど空き家であることからこの居宅の賃料収入も期待ほど得られなかったようだ。
この物件、1階の店舗が稼働すれば年収2000万円以上が見込まれるものの、ここが空いている状況で共同住宅だけでは1500万円程度が収入の限界だろう。所有者は借入金返済などを賄えず今回の競売に至ったようだ。さてこの物件の売却基準価額は2億5564万円であったが、これに対し入札が高額物件にも拘わらず26本あり、最高価4億3508万円にて不動産会社が落札した。競落後の商品化にあたっても店舗の稼働がうまくいくかが重要なポイントになりそうだ。