2022年1月31日「空き家問題に競売利用が役立つ」
東京地裁開札トピックス(22.1.31日号)
空き家問題に競売利用が役立つ
全国で空き家の増加と、その問題解決に種々の政策が取られつつある。空き家が処分されず残っている原因の一つとして、所有者死亡による相続登記によって共有関係になったものの共有者間で処分や利用の協議が整わず、放置されていることがある。相続人同士が対立していることもあるが、単に連絡などが取れず話合い自体が進まないといったケースも多い。1月14日開札では京王井の頭線「永福町」駅徒歩約6分に位置する古アパートが対象となった。これは相続人の一人から物件の処分等の協議が整わないため、共有物分割請求訴訟が提起され、この裁判に基づき競売となったものだ。土地は北側で幅員4mの公道などに面する約101坪で、その土地上に築33年超の木造2階建てアパートが空き家の状態で放置されている。この土地は第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に存するため、戸建てや低層アパート用地が最適利用だろう。この物件の売却基準価額は1億6160万円であったが、これに対し26本の入札があり、最高価2億5655万円にて戸建て分譲業者と思しき会社が競落していった。1坪約254万円の競落価格であるが、これは相続税路線価に対し約5割上乗せの水準である。杉並の好立地の戸建て用地として多くの業者が入札参加したようだ。
都内の空き家解消の1方策として、本例のように共有物分割請求訴訟に基づく競売が利用されるケースが今後さらに増加するのではないだろうか。あとは通常2年程度はかかる訴訟から競売にいたるまでの時間が短縮されればさらに利用されるようになるだろう。