2022.1.10「2021年東京地裁競売市場の総括」
東京地裁開札トピックス(22年1月10日号)
2021年東京地裁競売市場の総括
昨年2021年は東京地裁本庁の競売開札対象物件は表1のとおり24.19%増と大きく増加した。これは1昨年裁判所が約4ヶ月に亘って休んでいたことで対象物件を大きく減らしていたことがその理由である。ただ2年前2019年より対象物件が50件少なくなっていることから裁判所が休んでいた分の競売件数が上乗せされることはなく、むしろ減少した。この理由は政府のコロナ禍に伴う経営支援策にある。特にゼロゼロ融資(無利子、無担保融資)は企業のキャッシュフローを高め、返済遅延が起こらない状況を作った。結果として21年の全国の倒産件数が6000件を下回る公算で、そうとなれば、これは1966年以来55年ぶりの低水準とのことである。競売件数が少なくなって当然である。
一方で競落率は前年比0.26%増と僅かながら上昇しており競落競争が1昨年よりさらに激しさを増した感がある。さらに表2の売却基準価額に対する落札価格の上乗せ率を見ると昨年からは競落物件全体では5.6%上昇している。特に東京地裁本庁において競落物件数の70%超を占めるマンションの競落価格上昇が顕著であった。平均で売却基準価額の約52%上乗せでの競落ということはほぼエンドユーザー購入価格に近いで競落価格と言える。競売が安いとは少なくともマンションについては言えない状況である。