2021年8月30日「廃業クリーニング店に大量入札」
東京地裁開札トピックス(21.8.30日号)
廃業クリーニング店に大量入札
土地取引において土壌汚染は大きな阻害要因である。8月25日開札においては廃業されたクリーニング店が開札対象となった。その物件は東急世田谷線「若林」駅徒歩約2分に立地する。土地は西側で幅員約4.7mの公道に面する約17坪であり、建物は築48年の鉄骨造3階建で1階は店舗でその余は作業場である。本物件でクリーニング店を経営していたが、経営者が入院し、廃業状態になっている。このクリーニング店ではホテルなどのリネンのクリーニングをこの物件内で行っていたとのことであり、今や無価値となった複数の洗濯機、乾燥機が存在している。クリーニング店は取次店ではなく、作業を伴うところでは、クロロチレンなどの有害物質が含まれる溶剤を使用する。従って本物件については、売却基準価額決定にあたる評価段階で土壌汚染調査が実施されている。それによると、やはり有害物質が検出され、除去費用が約1900万円要するとのことである。ただし、評価書では約950万円の減価に止めてある。その結果、売却基準価額は781万円であったが、これに対し34本もの入札があり、最高価3387万円にて競落された。かなり高額の競落価格と思われるが、土壌汚染除去のコストを抑えられると落札者は判断したのではないだろうか。いずれにしろ得難い好立地での強気の入札と言えよう。