2021年3月29日「渋谷の土地付建物に大量入札」
東京地裁開札トピックス(21.3.29日号)
渋谷の土地付建物に大量入札
超金融緩和の時代が続く中、マンションのほか住宅地、それも高級住宅地の価格は強含みで推移している。3月17日開札ではJR山手線「渋谷」駅徒歩約13分に立地する土地付建物が開札対象になった。住所が渋谷区東1丁目で物件自体があまり出ない地域でもある。レインズの成約登録もここ10年は無い。そんな中、この対象物件は土地が南東側で幅員4m、北東側で幅員3.7mのそれぞれ公道の2項道路に面している41.65坪である。その上に鉄骨造3階建の店舗・車庫・共同住宅で延床面積約75坪の建物が建っている。この建物は築42年を経過しており、入札者は建物の取り壊しを前提に考えるであろう。そしてこの建物には賃借人はいるものの買受人に対抗できる賃借権者はいない。従ってこの物件を競落できれば明渡しは数か月で完了するだろう。この物件の売却基準価額は8786万円であったが、これに対し43本とこの日一番の入札が集まり、最高価1億9000万円強にて不動産会社と思しき法人が競落していった。売却基準価額への上乗せ率は116%を超え競落の水準は土地1坪あたり456万円強になる。これは相続税路線価1坪274万円強の1.66倍に相当する。かなり高水準での競落に見えるが、この物件は公道面角地で、2分割できる上、第2種中高層住居専用地域で建築もしやすいことでこの競落価格となったのだろう。しかし一番の要因はやはり希少性にあるだろう。