2021年1月4日「トランクルーム転用の競落か?」
東京地裁開札トピックス(21.1.4号)
トランクルーム転用の競落か
昨年はコロナ禍で不動産市況は物件種別によって異なる動きが見られた。飲食店舗の賃貸市場はまさに逆風で、テナント料の値下げや退出に不動産オーナーは苦境に立たされている。それに比して都心、準都心立地のワンルームを含むマンションの売れ行きは堅調に推移している。さらに郊外の1戸建は販売好調と言える状況である。そんな中、やはり堅調に推移しているのがトランクルームなどのストレージ市場である。12月9日開札で東武大師線「大師前」駅徒歩1分に立地する空きビルが競売対象となった。その物件は南側で幅員30m超の公道、西側で6.5m超のそれぞれ公道に面する約34坪の敷地に築30年の鉄骨造6階建の建物が載っている。建物の延床面積は約132坪で店舗と住宅の用途になっている。この物件の売却基準価額は4272万円で、これに対し28本の入札があり、最高価1億1123万円弱で競落されていった。この競落者がおそらくトランクルームの大手である会社であった。次順位の入札者は無く、かなり価格を離しての競落である。トランクルームへの転用を目的としているように思う。トランクルームでの収益予想や転用コストの見積もりはこの競落会社であれば容易であると思われる。他の27の入札者にはできないことのように思う。競売不動産には用途転用とその運用方法に強みがあると他の入札者を凌ぐことができる物件もある。