2020年12月14日「目黒青葉台の土地形式競売」
東京地裁開札トピックス(20.12.14号)
目黒青葉台の土地形式競売
競売のうちケ事件は多くは抵当権や根抵当権など担保物権の実行に伴うものである。しかし同じケ事件でも共有不動産を一部の共有者により共有物分割請求訴訟がなされ、結果として競売による換金によって各共有者に相当分を配当する事件もある。11月18日開札では京王井の頭線「神泉」駅徒歩約8分の好立地の約146坪の大きな敷地の一戸建てがこの共有物分割請求訴訟を経由した形式競売で競落された。先日は本欄で半蔵門の一等地について、同様に共有物分割請求による競売が行われ、当該土地は大手不動産会社が開札前に任意売却にて取得したが、今回は開札まで進んだ。半蔵門では共有者の一人が占有していたが今回の目黒青葉台についても同様に相続人である共有者の一人が占有している。
さてこの物件の売却基準価額は3億9248万円であったが、これに対し入札は15本あり、最高価8億3200万円弱で業者が落札していった。建物は戦後まもなく建設されたもので商品化するには建物取り壊しが前提だろう。土地は2方向にて公道に面しているので分割しての建売や土地分譲で対処できるだろう。ただ現占有者、物件の共有者の明渡しはすんなりいくかは不透明だろう。示談交渉が出来なければ引渡命令の発令による明渡の強制執行も視野に入れねばならないだろう。ただ強制執行も引渡命令の催告の段階で決着をつけ断行までは至らないように思う。実際この占有者も1億円以上の配当があり、資力が乏しい占有者では無いのでその点は明渡交渉上は有利であるとは思う。