2020年11月9日「好立地高級マンションに入札1本」
東京地裁開札トピックス(20.11.9号)
好立地高級マンションに入札1本
先週は築古のマンションに多くの入札が集まった事例を紹介したが、今週は逆に入札が僅か1本でしかも売却基準価額を下回る価格で落札されたのに目を引かれた。その物件は都営三田線「水道橋」駅徒歩約4分に立地する。このマンションはかつて高級マンションシリーズ「ドムス」を供給していた大建ドムスが分譲したものである。当該会社はバブル経済崩壊とともに倒産してしまったが、いまだ好立地に既分譲マンションは多く存在している。さて対象物件は昭和57年7月築でおそらくは旧耐震構造と思われる。対象住戸は1階で専有面積は約70坪で3LDK+納戸×2という大きな部屋である。さらにこれに地下部分の駐車場等の持分も対象になっている。1階の住戸部分は月額90万円で賃貸中であるが、買受人に対抗できない明渡6か月猶予の占有者で、地下駐車場は所有者が占有しているとのことである。文京区という好立地であり、希少な大型間取りのマンションなので多数の応札があるかと思った。しかし結果は売却基準価額1億1200万円に対し先述の通り1本の入札で、しかも1億900万円弱と売却基準価額を割り込む競落価格であった。これは1つに1階部分という低い階層で、高級物件需要者には不向きであることがあろう。また管理費・修繕積立金は月額17万円程度あるなど保有コストが高いのもネックだと考えられる。中古マンション人気も一般サラリーマン向けのものが中心になっているのだろう。