2020年10月19日「内部写真無いマンションが一番人気」
東京地裁開札トピックス(20.10.19号)
内部写真無いマンションが一番人気
競売物件では3点セットが整えられているが、そのうち現況調査報告書はその物件の物理的現状を纏め、占有者の調査結果も記載される。住宅の場合建物を内覧し、間取りの調査をした上その間取り図や写真を当該報告書に添付するのが通常である。しかし10月7日開札で一番人気となったマンションでは室内写真添付は無く、間取り図は分譲時のパンフレットを現状との照合無く転載されていた。占有者の協力が得られず内部に入れなかったのであるが、その場合解錠技術者による解錠がなされ内覧するのが通常である。しかし鍵が解錠技術者でも解錠できない難錠であり、執行官が裁判所の許可を得て先の対処としたようだ。占有の確認も郵便受けの郵送物の宛先や電気等の名義確認で行っている。建物内部の損傷や万が一の占有者の相違があるリスクがあるものの大量47本もの入札があった。その物件は東京メトロ銀座線「浅草」駅から約5分に立地する築15年で専有面積16坪の部屋であった。売却基準価額1676万円に対し競落価格は3653万円強であり、売却基準価額の2.2倍弱という高上乗せ率での競落である。競落者には先述のとおり建物の設備等損傷リスクや間取り変更リスクなどがある上、競落後の明渡し交渉についても難しい可能性がある。それでも旺盛な入札があるのは中古マンション市場の堅調が背景にあるのだろう。