2020年9月21日「築古でも人気都心マンション」
東京地裁開札トピックス(20.9.21号)
築古でも人気都心マンション
コロナ禍で大手企業の中には富士通などオフィス半減を打ち出したり、テレワーク進展で郊外住宅が売れたりと不動産市場の変化が生じている報道が目につく。こうなると都心の住宅市場にも影響があるのかが問題である。特に築年の古いマンションは価格、賃料への下落圧力がないか関心のあるところである。9月2日開札では東京メトロ日比谷線「広尾」駅徒歩約8分に立地する築50年強経過するマンションが対象になった。その物件は「秀和西麻布レジデンス」というかつての高級ブランドマンションであった。専有面積が約12坪の1LDKのこの部屋の売却基準価額は1659万円であった。これに対し入札は33本あり、最高価2589万円にて不動産会社と思しき会社が落札していった。ちなみにこの部屋は現在共益費込みの賃料月額14万円にて賃貸中である。ただしこの賃借人は買受人に対抗できない(6か月間の明渡猶予)ので、明渡後に再販も可能である。競落会社は再販を計画しているかもしれないが、そのまま賃貸保有で表面利回りは年6%になる。管理費・修繕積立金(月額約2.1万円)固定資産税・都市計画税約6.4万円)、滞納管理費等(約17万円)などを考慮した実質年利回りは5%程度である。この入札本数、競落水準を見てみると都心のマンションマーケットはコロナ禍での影響は感じない。また、こういった築古マンションは好立地であれば将来の建替えも視野に入れた購入もあるかもしれない。