東京地裁開札トピックス(20.9.7号)
都心築浅マンションは依然人気高
コロナ禍による経済収縮はリーマンショック以上と言われている。そんな中で不動産市況は一戸建て販売の好調さが見えるなど、リーマンショック時の価格下落は顕著に見えない。競売市場も約5か月間開札が休止していたものの8月19日開札で大量の対象物件が現れることもなく、任意売却が進んでいたようで、その面からも不動産市場に閉塞感は今のところ見えない。そんな中、8月19日開札の対象でJR山手線「代々木」駅徒歩約1分に所在するマンションに大量入札があったのに目を引かれた。その物件は専有面積約19坪の2LDKで所有者の身内が占有する部屋であり、引渡命令対象である。売却基準価額は4400万円であったが、これに対し52本の入札があり、最高価7230万円強で再販業者と思われる会社が落札していった。競落の専有面積坪単価は380万円超であり、売却基準価額への上乗せ率は64%超になる。おそらくは再販価格では専有面積坪単価は450万円、総額で8500万円程度は狙うように思う。実はこの部屋の3階下の同じ間取りの部屋が坪単価370万円強の成約事例が約1年前にある。この成約した部屋は賃貸中でオーナーチェンジでの販売ということもあって空室よりは割安であったと考えられるが、それにしても市況を強気に見た競落であったと思う。都心マンション市況に対するコロナ禍の影響はまだ見えてきていないと言えそうだ。