東京地裁開札トピックス(20.4.20号)
新高円寺戸建が売却基準価額未満落札
首都圏の中古1戸建については、マンションに比してこのところ成約価格が相対的に低い傾向にある。少子高齢化や共働き世帯の増加がその背景にあるものと考えられる。また一戸建ては敷地条件、特に接道条件などでディスカウントされてしまうケースが多々ある。昭和から平成初期においてより、この点の減価は大きくなっているように思う。3月12日開札で東京メトロ丸ノ内線「新高円寺」駅徒歩約7分に立地する1戸建が売却基準価額を下回り競落されたのに目を引かれた。その物件は敷地が約42坪あり、西側で幅員2mの私道(42条2項)に面している。そして建物は昭和50年2月築の古家であり、実際には価値ゼロというか解体費分マイナスである。売却基準価額は4689万円であり、単純に土地の坪数で割れば1坪111万円強と、この地域にすればかなり割安感がある。しかし、接面道路が狭く、またセットバックがなされていない。加えて大きい難点は接面する私道の旧友持分がこの物件に付帯していない。接面私道は建築基準法の道路であり、再築は可能ではあるが、建築にあたっては私道所有者の承諾が、通行及びインフラ整備(各種配管のための掘削同意等)に必要である。私道持分を有しないことで銀行融資を受けることにも難点があろう。この物件は相続による共有で、相続人の共有物分割請求による換価競売であった。おそらく任意売却が思うように進まず(共有者の合意が取れず)今回の競売に至ったのだろう。結果は入札は3本のみで、競落価格は4600万円に止まった。