2020年3月23日「価額改定の一等物件、上乗せ率48%で競落」
東京地裁開札トピックス(20.3.23号)
価額改定の一棟物件、上乗せ率48%で競落
かつて平成初期のバブル崩壊の時代、競売物件は処理に時間が掛かるとその間に地価が下落し、入札が無く、最低売却価額の切り下げがなされたたことが多々あった。しかし3月12日開札で対象になった東京メトロ副都心線「地下鉄赤塚」駅徒歩約5分に立地する1棟物件は、その逆で差押時点より地価が上昇したため、売却基準価額が高く見直され再入札となった。その物件は敷地が北東側で幅員4mの私道(位置指定道路)に面する51坪強で建物は築30年を超える鉄骨造3階建て、延床面積78坪である。1階は元保育所で、2~3階が1DKなど住居6戸から成っている。この物件は昨年2月に開札対象となっていて売却基準価額は4994万円であった。しかい差押後に債務者・所有者が死亡し、競売手続きが遅延し、その間地価が上昇したとして、「変更」となり開札が中止された。そして今般5229万円に売却基準価額が改定され改めて入札・開札の対象になった。結果として入札は14本集まり、最高価7777万円にて競落された。この物件は実質年収が600万円程度見込まれるので、これまでの1棟物の競落水準であれば年6%以上の利回りが取れる9000万円以上が想定された。しかし実際は売却基準価額に対する上乗せ率約48%の水準で競落された。これは1階の元保育所の空室のテナント付リスクが影響したものと思われる。