東京地裁開札トピックス(20.3.16号)
世田谷の大型住宅個人落札
高級住宅地における大型住宅は概ね注文住宅で建設される。このため中古住宅として売却する場合は建築主の個性が間取りなどに反映している分販売しにくい面がある。増してや再販業者においては、再販価格が読みにくく仕入れにくい。建売業者は更地化して、大きな敷地であれば分割して汎用性の高い間取りの建物を建設して販売したいところだ。しかし、2月27日に開札対象となった世田谷区大型一戸建ては建物が比較的新しく、取り壊して再建築で考えにくい案件だった。その物件は小田急線「世田谷代田」駅徒歩約8分に立地する土地付建物で敷地は南東側、南西側にそれぞれ幅員6m弱に面する角地で面積は約78坪ある。そしてその上の建物は築約8年で木造2階建、床面積約78坪の6SLDKである。写真では広くてきれいな仕上げのリビング・ダイニングルームが確認でき、評価書において約3600万円の評価がなされている。この物件の売却基準価額は1億5363万円であったが、これに対し入札が11本あり、最高価1億9333万円にて個人が落札していった。ちなみにこの物件敷地の相続税正面路線価は1坪約175万円であるので相続税評価額は1億3650万円である。従って土地だけで考えると路線価の1.41倍相当の落札価格である。これは建売業者としては建物取り壊しした上での分割再販の採算では出ない入札価格なのだろう。結果として最高価も次順位(1億9200万円)も個人の入札であった。建物が既に所有者退去で空室であったことも個人入札を後押ししたものと思われる。