2019年7月29日「競売対象急減の背景には金融機関のリスケあり?」
東京地裁開札トピックス(19.7.29号)
競売対象急減の背景には金融機関のリスケあり?
東京地裁本庁の開札対象物件数は7月18日開札では空前の少数物件である13物件であった。これは競売申立件数の減少が対象物件を少なくしているからであろうか。ただ競売申立後の配当要求終期の公告数は今年に入って6月まで月平均100件以上はあり、またちょうど一年前の2018年7月は122件であったので競売申立件数が急減しているとは言えない。おそらくは競売申立後の取下げなどが多くなっているからであろう。そして取下げ増加の要因は2つあると考えられる。その一つは任意売却が多く成立したということ。そしてもう一つは申立債権者がリスケなどの対応をして競売を取り下げるケースが多くなったことだろう。7月18日開札で競売対象になった都営新宿線「瑞江」駅徒歩約13分に立地する店舗・共同住宅は不動産会社が所有しているが、競売申立は2回目であった。1回目はリーマンショック当時であったが、おそらく当時倒産防止のために作られた中小企業金融円滑化法(リスケ法)によって返済猶予(リスケ)計画が採用され取下げられたのだろう。しかし今回遂に競売に踏み切られた。この所有者である不動産会社は対象物件の1階に店舗を構えていることもあってリスケがされやすかったのかもしれない。なお対象物件は土地が約27坪、建物は築29年の鉄骨造3階建でワンルーム住居8戸とワンルーム事務所(債務者使用)からなる。賃貸運用であれば年600万円程度が見込めるだろう。結果は売却基準価額2989万円に対し入札15本が入り最高価6066万円にて競落されていった。