東京地裁開札トピックス(19.7.1号)
高すぎる売却基準価額のマンション
相変わらず高水準の競落状況である東京地裁ではあるが6月20開札では珍しく平成以降の築年のマンションが1本の入札も無く特売に回った。このマンションはつくばエクスプレス「六町」駅徒歩約9分に立地する3LDKの部屋である。平成5年3月に建築され、専有面積は約15.3坪である。占有者は賃借人であるが買受人に対抗できない6か月明渡猶予対象者である。従って再販会社は入札を検討できる物件と考えられるが、実際には応札が無かった。それというのもこの物件の売却基準価額1622万円(最低売却価格である買受可能価額は1297.6万円)が高過ぎたからのようだ。ちなみにレインズで類似マンションの成約実績を見ると、同程度の築年で専有面積坪単価は120万円くらいである。とすればこの物件の市場価格は1830万円程度になる。ただこのマンションは高圧線が上空を走っているので、そこまでの売価にはならない気がする。そんな実態であるが、この物件の評価書において市場価格は2090万円とし、ここから競売減価等を施して先の売却基準価額が算出された。明らかに市場価格より1割強は高い水準で正常価格(市場価格)が設定されている。これまでマンションの評価は東京地裁では市場価格よりかなり低いケースが多かったが、最近はこの例のように高目に誘導されている気がする。