2019年4月1日「相続後放置マンションに入札1本」
東京地裁開札トピックス(19.4.1号)
相続後放置マンションに入札1本
空き家問題が世間で多く取り上げられているが、その多くは地方の戸建であった。しかし最近については東京圏の古家でも長期間放置されている例が見られるようになった。さらにマンションにおいても例外ではなくなっている。3月12日開札では長期空き家であった足立区のマンションが競売対象になった。その物件は日暮里舎人ライナー「江北」駅徒歩約5分に立地する築37年経過する旧耐震構造のマンションで、対象の部屋は3DK+サービスルームで専有面積は約21坪である。このマンションは配偶者からの相続で現所有者が取得した模様だが、相続後12年以上使用されたことのない状況で、水道や電気も停止している。残置物はかなり存在するようであるが、散乱状態である。また室内には雨漏りの跡もあるようだ。現状管理費・修繕積立金も12年以上の滞納があり、その総額は390万円近くになる。さらにはこの滞納に対する延滞金や弁護士費用など360万円程度があり、合計約750万円の債務が所有者にはある。ただそのかなりの部分は本競売の配当債権となっているので、買受人にはその一部が承継されるのみかと考えられる。そんな条件でこの物件の売却基準価額は991万円であったが、これに対し入札は1本のみ最高価は売却基準価額未満の923万円であった。東京圏にあっても今後こういった管理費滞納の長期放置相続マンションが競売市場に多く出現してくるように思う。