2018年10月22日「人工地盤は敬遠されるか」
東京地裁開札トピックス(18.10.22号)
人工地盤は敬遠されるか
投資用不動産融資引き締めが話題になっているが、一方で住宅ローンについてはフラット35もあり、引き続き堅調に融資されているようだ。同じ不動産でも実需向けにおいては価格低下が見られない。ただ今年の春からスタートとした建物状況報告制度も一つのきっかけかと思われるが、建物の遵法性がより重視されている風潮がある。特に築年が新耐震基準以前(昭和56年4月以前の建築確認取得物件)についてはフラット35などを利用する場合、建物が法に抵触せず建設されたかを建築士が発行する適合証明書を要する。従って古い一戸建は、更地化して売却する選択が取られやすくなってきた。ところで敷地が斜面地などで1階部分を鉄筋コンクリートなどで車庫などにしている一戸建物件をたまに見かける。そんな物件はその上に建築物を建設する場合は、その1階部分が新耐震基準に適法に(構造物の)建築確認が取られ、且つ完了検査がなされていないと新たな建設が難しい。10月10日開札で板橋区内の一戸建てが対象となったが、1階部分が鉄筋コンクリート造で、且つ隣接地と人工地盤のように共用になっている。交通便は都営三田線「西台」駅徒歩約4分と良く、土地約16坪、建物は昭和51年築の古家(木造2階建延床面積約22坪)売却基準価額は1260万円と低水準であった。しかし、応札はゼロで特別売却に回った。旧耐震基準の人工地盤では建売会社もリスクを負いきれなかったのだろう。