2018年9月17日「本年最高入札本数はホテル用地か?」
東京地裁開札トピックス(18.9.17号)
本年最高入札本数物件はホテル用地か
周知のとおり訪日外国人は09年のリーマンショックと11年の東日本大震災で一時的に減少したものの近年は急増の一途であり、年間3000万人突破も目の前の状況である。これにより、人気観光地の地価が押し上げられている。そんな状況の中、9月6日開札では今年最多の入札本数を集め競落された物件が、台東区雷門1丁目に立地する土地付建物であった。この物件は東京メトロ銀座線「田原町」駅徒歩約2分に立地し、土地は西側で幅員8mの公道に面する約22坪で、その上に築36年が経過する鉄骨3階建ての事務所兼居宅が建っている。この物件の正面路線価は1坪約175万円であるが、売却基準価額3163万円に対し77本の本年最高入札の結果最高価1億1440万円強で競落されていった。これは1坪単価で520万円に相当し、正面路線価の3倍近い水準での競落であった。競落したのは社名から推してホテル経営関連の会社である。この物件は浅草寺に近く、ホテルや簡易宿所であれば高稼働が見込まれる。この地域は商業地域であり容積率が700%であることも高水準落札の要因になったと考えられる。いずれにしろホテル運用であれば現在の建物は取り壊しが前提になるだろう。その解体費用を考えるのであれば、取得価格は正面路線価の3倍は超えることになるだろう。インバウンド需要に対応する不動産は今後も強含みの競落になりそうだ。